BtoB新規事業の価格設定(プライシング)戦略——「原価+利益」から「価値ベース」への転換
目次
こんな人に読んでほしい
- ▸新規事業・新サービスの価格設定に悩んでいる経営者・事業責任者
- ▸価格を「原価+利益」や「競合と同じくらい」で何となく決めている方
- ▸「安すぎて利益が出ない」「高すぎて売れない」のジレンマに陥っている方
- ▸価格で消耗せず、価値に見合った対価を得たいBtoB事業者
新規事業において、価格設定(プライシング)は最も重要かつ難しい意思決定の一つです。512社のSaaS企業を調査した研究では、「顧客獲得の最適化」と「価格設定の最適化」では、企業の成長インパクトに4倍もの差が出るというデータもあります。本記事では、BtoB新規事業で価値に見合った価格を設計する考え方を解説します。
「コストベース」の限界
多くの企業が、価格を「かかったコスト+利益」で決めます(コストベース・プライシング)。計算は簡単ですが、これには大きな限界があります。
なぜなら、顧客が払う金額は「あなたのコスト」とは無関係だからです。顧客は「自分が得られる価値」に対して対価を払います。コストベースで決めると、価値の高いサービスを安売りしたり、逆に価値の低いものを高く付けて売れなかったりします。SaaSのように原価が見えにくいビジネスでは、特にこの問題が顕著です。
「価値ベース」という考え方
これに対し、「顧客が得られる価値」を起点に価格を決めるのが価値ベース・プライシングです。SaaS市場では競争が激化し機能での差別化が難しくなる中、「その価値をどう価格に反映させるか」が競争力の決定要因になっています。
たとえば、月10万円のサービスでも、顧客に月50万円分の価値(コスト削減や売上増)をもたらすなら、その価格は「安い」のです。価値を基準にすれば、適正な価格を堂々と提示でき、価格競争からも抜け出せます。
プライシングを設計する4つの視点
プライシングを検討する際は、次の要素を一連の流れで捉えて決めることが重要です。
①誰に対して
ターゲット顧客は誰か。同じサービスでも、大企業と中小企業では支払える額も感じる価値も異なる。
②何を提供したときに
どんな価値を提供するのか。機能ではなく「顧客が得る成果」で捉える。
③どんなチャージモデル
月額固定か、従量課金か、ユーザー数課金か。価値の出方に合った課金方式を選ぶ。
④いくらなのか
①〜③を踏まえた具体的な金額。価値・競合・顧客の支払い意欲のバランスで決める。
市場参入の設計から初期営業まで、事業の立ち上げに伴走します。
新規事業・GTM設計支援を見る「顧客の声」を価格設計に活かす
BtoB新規事業では、「競合と差別化した価値の提示」と「顧客に受け入れられる価格設定」の両立が重要です。そのために欠かせないのが「顧客の声」です。
BtoBはターゲット企業数が少ないことが多いため、アンケートよりインタビューを主体に設計するのが有効です。「この価値にいくらまでなら払うか」「現状どれくらいのコスト・損失が発生しているか」を直接聞くことで、顧客が感じる価値の大きさが見えてきます。机上で価格を決めず、顧客との対話から導くことが成功の鍵です。
価格は「一度決めて終わり」ではない
プライシングは、事業の成長段階に応じて見直すものです。立ち上げ期は導入実績を作るために抑えめにし、価値が証明されてきたら適正水準へ——という調整は珍しくありません。
重要なのは、価格変更の根拠を持つことです。「提供価値が増えた」「顧客の成果が実証された」といった根拠があれば、値上げも顧客に納得してもらえます。価格を継続的に最適化していく姿勢が、事業の収益性を大きく左右します。
よくある質問
価値ベースの価格はどう決める?
顧客が得る効果(削減コスト・増える売上)を基準にします。「原価+利益」ではなく「相手にとっての価値」から逆算します。
高い価格をつけて売れますか?
価値が伝わっていれば売れます。逆に価値が伝わらないと、安くても「高い」と感じられます。価格より価値の伝え方が先です。
一度決めた価格は変えられない?
変えられます。提供価値が増えた・成果が実証されたなどの根拠があれば、値上げも納得を得られます。継続的な最適化が重要です。
YME Technologyの新規事業支援について
YME Technologyでは、新規事業の価格設計を支援しています。価値ベースのプライシング設計、顧客インタビューによる支払い意欲の把握、チャージモデルの選定まで、事業の収益性を高める価格戦略を一緒に組み立てます。
「価格設定に自信がない」「安売りから抜け出したい」という方は、まず初回45分の無料相談で、自社の価値と価格の関係を整理しましょう。
蛭田 佳人(Yoshito Hiruta)
代表 / YME Technology
新卒からIT業界でエンタープライズセールスに従事し、大手企業向けの営業支援・DX推進を経験。現在は独立し、AI活用・営業プロセス改善・集客の仕組みづくりを一貫して支援。
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