新規事業の営業を任された人が最初にやるべき10のこと
はじめに
「来月から新規事業の営業を担当してほしい」——そう言われた瞬間、多くの人が戸惑いを感じます。これまでやってきた既存事業の営業と、新規事業の営業は、同じ「営業」という名前がついていても、求められる動き方がまったく異なるからです。
既存事業の営業であれば、売る商品が決まっていて、顧客リストがあり、提案書のテンプレートがあり、成功パターンが確立されています。しかし新規事業の営業には、そのいずれも存在しません。「何を、誰に、どう売るか」をゼロから作り上げていく必要があります。
本記事では、新規事業の営業を任された人が最初の90日間でやるべき10のことを、実務の視点から解説します。
新規事業営業の本質:売ることより「学ぶこと」が先
新規事業営業の最初期において、最も重要なマインドセットの転換は「売ることより学ぶことを優先する」です。まだ市場から検証されていない事業仮説を持って顧客に会いに行く段階では、成約よりも「誰がどんな課題を抱えているか」「自社の仮説は正しいか」を確かめることの方が価値があります。
この視点を持てるかどうかが、新規事業営業の成否を大きく分けます。売ることに焦るあまり、顧客の話を聞かずに提案ばかりをしていると、間違った方向に全力疾走してしまう危険があります。
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営業組織構築・GTM支援を見る最初にやるべき10のこと
1. 事業仮説を自分の言葉で説明できるようにする
新規事業の営業担当として最初にやるべきことは、担当する事業について「誰に・どんな課題を・どう解決するのか」を、30秒で説明できるようにすることです。事業企画書を読むだけでは不十分です。社内の事業責任者に話を聞き、なぜこの事業を始めるのかという「意図」を理解した上で、自分の言葉に落とし込んでください。
2. 競合・代替手段を徹底的に調べる
顧客が「今その課題をどうやって解決しているか」を理解することは、新規事業営業の必須知識です。直接的な競合製品だけでなく、「何もしない」「内製する」「外注する」といった代替手段も含めて調査します。顧客が現在の解決策に対してどんな不満を持っているかを知ることが、自社の価値提案を磨く材料になります。
3. ターゲット顧客の仮説を立てる
「全ての企業がターゲット」という状態では、営業活動が分散して成果が出ません。最初に「最も課題感が強く、かつ自社の解決策が刺さりやすい顧客像」の仮説を立てます。業種・業態・企業規模・組織の特性など、複数の軸で絞り込み、ICP(理想的な顧客像)を定義してください。
4. 最初の10社は「学ぶための商談」と割り切る
事業立ち上げ初期の商談は、成約を目指すのではなく「市場から学ぶ」ことを目的にします。ターゲット仮説に合う企業10社に話を聞き、「どんな課題を抱えているか」「自社の仮説に共感してもらえるか」「どこに疑問や抵抗感があるか」を丁寧にヒアリングします。この段階で得た顧客の生の声が、その後の営業戦略の土台になります。
5. ヒアリング結果を仮説の検証に使う
10社のヒアリングが終わったら、結果を整理して当初の仮説と照らし合わせます。「想定していた課題が実際には小さかった」「別の課題の方が深刻だった」「想定外のターゲット層に反応があった」——こうした発見が、事業仮説の修正につながります。この検証サイクルを速く回せるかどうかが、新規事業営業の成否を決める最大の要因です。
6. 社内の意思決定プロセスを把握する
新規事業の営業では、顧客の社内プロセスだけでなく、自社内の意思決定プロセスも把握しておく必要があります。「顧客からの要望にどこまで対応できるか」「価格の裁量はどこまであるか」「契約に必要な社内承認フローは何か」を事前に整理しておかないと、顧客との交渉が行き詰まります。
7. 初期クライアント候補を3社に絞り込む
ヒアリングと仮説検証を経て、「最初に取引したい企業」を3社に絞り込みます。この3社は、課題感が強く、かつ「参照事例として使える」企業であることが理想です。初期クライアントの実績は、その後の営業活動で大きな武器になります。
8. 「小さく始める」提案を作る
新規事業の場合、いきなりフルスペックの大型契約を取りに行くことはリスクが高いです。顧客にとっても、実績のない事業への大きな投資は心理的ハードルが高くなります。最初は小規模なPoC(実証実験)や限定的な試験導入から始める提案を用意し、取引の入口を低くしてください。
9. 社内への報告・巻き込みを怠らない
新規事業の営業は、孤独な戦いになりがちです。成果が出るまでに時間がかかり、社内からの理解が得られにくいこともあります。定期的に活動報告を行い、「何を学んでいるか」「仮説がどう変化しているか」を可視化することで、社内の信頼と支援を維持してください。成果が出る前に予算が切られるリスクを下げることも、新規事業営業担当の重要な仕事です。
10. 「断られた理由」を丁寧に分析する
新規事業の営業では、断られることの方が圧倒的に多いです。しかし、断られた理由の中には、事業仮説を修正するための重要なヒントが詰まっています。「価格が高い」「競合と比べてどこが優れているかわからない」「今は優先度が低い」——これらの断り文句の背景にある本質的な理由を理解することが、次の商談改善につながります。
まとめ:新規事業営業は「実験の連続」
新規事業の営業は、正解がない中で仮説を立て、検証し、修正し続ける実験の連続です。成約数よりも、「どれだけ市場から学んだか」が初期フェーズの最重要指標です。
- ▸売ることより学ぶことを優先する
- ▸ターゲット仮説を立て、素早く検証する
- ▸小さく始めてPoCから実績を積む
- ▸断られた理由を次の仮説修正に活かす
- ▸社内を巻き込み、長期戦に備える
YME Technologyでは、新規事業の営業推進支援を戦略策定から実行まで行っています。「新規事業の立ち上げ期に営業リソースが足りない」「どう動けばいいかわからない」という状況でも、ぜひお気軽にご相談ください。
蛭田 佳人(Yoshito Hiruta)
代表 / YME Technology
新卒からIT業界でエンタープライズセールスに従事し、大手企業向けの営業支援・DX推進を経験。現在は独立し、AI活用・営業プロセス改善・集客の仕組みづくりを一貫して支援。
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